2014年12月2日火曜日

【№20】ノーリフトって、なに?

介護職員の就業の継続を困難たらしめているもの。それは腰部損傷。腰痛は介護職員の職業的宿命とさえ言われ、殆どの介護職員が長年、その痛みに苦しんでいる。やっかいなのは整形外科的治療はもとより、接骨院やマッサージに通うなどしても、その効果が大変心もとないということにある。その結果、長く仕事を休むことになったり、介護の仕事から離れざるを得なくなったり、あまつさえ、普通の日常生活さえ困難になるケースもある。ご本人の苦しみはもとより、大事な職員を失うことになる介護施設にとっても大問題。この宿命に果敢に挑戦している国がある。オーストラリア。彼の国ではベッドから車いすへ、車いすからトイレ便座へ、浴槽へ等の移乗の際、人力(用手的移乗)だけで対応するのはご法度。必ずリフトなどの移乗用具を使わなければ法的に罰せられるとのこと。用手的対応の結果、職員が背部損傷した場合は、施設側に多額の損害賠償の義務が発生するのだそう。当施設でも、40キロほどの体の小さな女性介護職員が、70キロを優に超える方の移乗を、「エイヤッ」。その献身的な頑張りには頭が下がるが、脊椎を損傷しては元も子もない。ご利用者の理解を得て、人力だけでは持ち上げない「ノーリフト介護」を当施設でも進めてゆきたいと考えている。