2016年1月13日水曜日

【№29】自立と依存と

飛鳥晴山苑では自立支援に力をそそいでいる。車いすの方が少しでも歩けるように、おむつを使わず、トイレで排せつできるようになっていただく。そんな自立支援を強化。3年がたち、おむつ使用の方が当初の95%から30数パーセントにまで減少している。入所時、車いすであった方が半年の歩行訓練でトイレまで歩く、廊下をおしゃべりしながら歩いている。そんな光景が目に飛び込んでくるようになった。平均年齢88歳、平均要介護度4.2の方々が、ご自身の尊厳を保持し、努力をしていただいているお姿には頭が下がる思いがする。
辞書には「自立とは依存、受け身から脱して自分の足で立つこと」とあり、当苑の「自立支援」も、可能な限りこのイメージに近づくための試みと考えている。他方、幼児期に脳性まひの後遺障害を負った熊谷晋一郎さんという方がいる。重い障害を抱えながら、のちに医師となった氏によれば、「障害は他者に依存できないことにより発生する。依存先が少ないことが障害である。自立=成長とはどんどん依存先が増えてゆくこと」という。表現は180度違っていても、互いに遠く先に見据えているのは、いかにして人としての尊厳を守るかということになるだろうか。

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