2019年7月28日日曜日

【№41】天意重夕陽 人間尊晩晴

このところ、新札の発行で話題となっている渋沢栄一が好んだ漢詩とのことで、「天が綺麗な夕陽を見せてくれるように、人間の人生も晩年が尊い」との意味だと、ある方に教えていただいた。明治維新の混乱で、多くの生活困窮者や要介護高齢者が溢れた東京市に、いち早く(明治2年)養育院を開設し、以来92歳の天寿を全うするまで50幾年もの長きにわたって院長を務めたという氏の言葉だからこそ、晴れ晴れと心に届いてくる。養育院は、板橋の地にあって、いまも高齢者介護・長寿医療のセンターとして大きな役割を果たしており、飛鳥晴山苑から徒歩10分ほどの地、飛鳥山公園の一角には翁が亡くなるまでの30年ほどを過ごした広壮な旧邸が記念館として公開されている。この季節、桜の新緑に包まれた館の屋根が、夕陽を受け止めて輝いている。