2019年4月10日水曜日

【№40】 自立支援とおむつゼロ

一般に「自立」とは、「人に頼らず、自分の責任において社会生活を営む力」と理解されています。が、要介護高齢者にとっての「自立」は、「他人に頼らない」ということとは真逆に、むしろ頼ることのできる社会資源を使って、人としての尊厳を維持し、自身の可能性を可能な限り押し広げること。できることをたくさん増やそうとする意欲こそが、要介護高齢者にとっての自立であり、その自立を支援することが、介護福祉施設の一番大切な役割だと、私たちは考えています。
要介護高齢者の自立を脅かしているもの、食事・睡眠・整容・入浴・排泄──そのどれが欠けても自立が脅かされることとなりますが、なかでも「排泄の自立」が損なわれることほど、人としてのプライド、尊厳が打ちのめされることは他にない。そう感じます。飛鳥晴山苑の「おむつゼロ」の試みは、人としての尊厳を守る、一番大切な支援。介護職員にとっても、自分の仕事の専門性の試金石。飛鳥晴山苑の介護職は、そのような気構えで、ここ数年「おむつゼロ」に取り組んできたというように、私にはみえます。「排泄はトイレで密やかに」、そして「オムツを当てなくてもよい暮らし」を実現すること。私たち介護に係るものたちがこの「誇らしく、尊厳」に満たされた瞬間に立ち会うこと、これが飛鳥晴山苑の自立支援の絶え間ない道のりなのだと感じています。