2015年1月1日木曜日

【№21】あけまして、おめでとうございます。

2015年(平成27年)の朝。関東地方は、穏やかな新年となりました。
おめでとうございます。
昨年、飛鳥晴山苑では「自立支援介護」に力を注ぎました。特養に入所してくる方のほとんどがオムツをお使いになっておられます。が、排せつ・排便は人の手を借りずにトイレで、ひっそり?すませたい。人間の尊厳などと大仰にいわなくとも、、これが人の偽らざる気持ちでしょう。飛鳥晴山苑ではこの当然のことを実現していただくために、水分や食事の量・質を検討し、トイレまで歩くことができるよう歩行訓練も強化いたしました。その結果、平成25年4月時点で95%もの方が日中の時間帯はおむつを使用していましたが、平成26年11月時点では59%にまで減少いたしました。入所時には全く歩くことができなかった方が、半年後にはご自分の足でトイレまで進み、便座にお座りになる。ある方は顔をしっかりと前に向け、おしゃべりや景色を楽しみながら散歩する。そんなお姿もお見かけするようになりました。
平成27年、苑ではこの自立支援を更に推し進めます。また、今年は介護保険制度の大きな改定が予定されています。皆様がご負担している介護保険料はできるだけ増額にならないようにし、受けることのできるサービスは量も質も充実したものを。この相反する要望に挟まれて、介護保険の事業者である私たちはなお一層の努力が求められるでしょう。飛鳥晴山苑では、この状況下、自らの仕事と収支を見つめなおし、地域への貢献もよりわかりやすいものにしてゆかなければなりません。近隣の方々の、厳しく、そして温かいご支援を賜りますよう、よろしくお願いいたします。

2014年12月2日火曜日

【№20】ノーリフトって、なに?

介護職員の就業の継続を困難たらしめているもの。それは腰部損傷。腰痛は介護職員の職業的宿命とさえ言われ、殆どの介護職員が長年、その痛みに苦しんでいる。やっかいなのは整形外科的治療はもとより、接骨院やマッサージに通うなどしても、その効果が大変心もとないということにある。その結果、長く仕事を休むことになったり、介護の仕事から離れざるを得なくなったり、あまつさえ、普通の日常生活さえ困難になるケースもある。ご本人の苦しみはもとより、大事な職員を失うことになる介護施設にとっても大問題。この宿命に果敢に挑戦している国がある。オーストラリア。彼の国ではベッドから車いすへ、車いすからトイレ便座へ、浴槽へ等の移乗の際、人力(用手的移乗)だけで対応するのはご法度。必ずリフトなどの移乗用具を使わなければ法的に罰せられるとのこと。用手的対応の結果、職員が背部損傷した場合は、施設側に多額の損害賠償の義務が発生するのだそう。当施設でも、40キロほどの体の小さな女性介護職員が、70キロを優に超える方の移乗を、「エイヤッ」。その献身的な頑張りには頭が下がるが、脊椎を損傷しては元も子もない。ご利用者の理解を得て、人力だけでは持ち上げない「ノーリフト介護」を当施設でも進めてゆきたいと考えている。

2014年10月8日水曜日

【№19】最後の時に傍らにたたずむもの

介護や看護の職員は、毎日、ご入所者のバイタルサインをチェックいたします。ご高齢の方の心臓の拍動に耳をすまし、血液の流れの微小な変化を読み取る行為は、体調の変化を感じ取るサインであるにとどまらず、言葉を発することの少なくなった方々からの、魂のメッセージ、沈黙の語りかけだと感じることがあります。看取りを行なっている特養の宿命でしょう、今年の夏も、たくさんの方が召されてゆきました。そのお一人おひとりにとって、人生の旅路はどのようなものであったのでしょう。楽しかったのでしょうか、苦しい道のりだったのでしょうか。いずれであったにしても、私たちのなすべき仕事は、その最後の時に傍らにたたずむものとして、静謐(せいひつ)の中で永遠の時を迎えていただきたいという願いです。そして静謐の背後に通奏低音として流れる魂の拍動が語りかけるサインの一つひとつを、耳を澄まして聞き分けたいと思うのです。

2014年9月19日金曜日

【№18】笑顔、笑顔、拍手、拍手の敬老会でした

飛鳥晴山苑は9月15日からの1週間は、さながら敬老週間。その間、特養・ショートステイのどこかのユニットで、あるいはデイサービスで、毎日のように、思い思いの敬老会が開かれていた。「高齢者施設なのだから、1年、365日が敬老の日でしょう」と可愛くないことをおっしゃる御仁もいるでしょうが、ご高齢の方にとってはやはり改まってのお祝いは、ことのほかのお慶びの時。拍手の中、満面の笑みを浮かべて、ささやかなお祝いの品を受け取っていただいた。当施設・特養、ショートステイ、デイサービスご利用者のうち、今年の賀壽者は古稀(70歳)の方が2名、喜寿(77歳)の方が5名、傘壽(80歳)の方が6名、米寿(88歳)の方が18名、卒寿(90歳)の方が19名、白寿(99歳)の方が4名、百壽(100歳)の方が1名でありました。まことにおめでとうございます。さらには100歳越えの方が8名。最高齢は105歳の方ですが、もともと、生まれついての「元気の素」をお持ちなのか、泰然、かくしゃく。110歳越えをめざして、日々元気で暮らしていただけるよう、職員一同、腕によりをかけて?お世話する所存。ひとまずは来年の敬老の日を目指して、決意を新たにした1週間でありました。

2014年7月9日水曜日

【№17】一日1500㏄の水分摂取をめざして

春の風に乗って窓から侵入した花びらに心躍らせた日々もつかの間、軒先のアジサイに容赦のない日差しが照りつける季節となってしまいました。熱中症など、ご高齢者にとって心配な日々が続いています。昨年来、飛鳥晴山苑では、11500ccを目安に水分摂取を強化しており、この1年の間に152名平均で990ccから1300cc5月末現在)へと改善が進んできました。食事で摂取する水分に加えて11500cc以上の摂取が、排便のコントロール、歩行機能の改善、覚醒水準の向上に大きな役割を果たすとされていますから、今後もこの試みは続けていかなければなりません。その甲斐あってか、入所以来まったく歩けなかった方が、近くのスーパーまでお買い物。ビデオ映像にはスーパーのカートを歩行器代わりに、スイカの並べられた陳列棚にじっと目を凝らし、積み上げられたサンマを前に同行の職員になにやら語りかけ。暮らしのにおい、季節の移ろいに包まれたひと時となったご様子。歩くっていいね、街っていいね、そんなシーンをもっともっと増やしたいと願っています。

2014年6月5日木曜日

【№16】第三者評価から見えてくるもの

飛鳥晴山苑では毎年度、第三者の評価を受けている。東京都の指導に基づくもので、東京都福祉サービス推進機構により認証されている評価機関(=第三者)が、施設のご入所者・ご家族・職員に聞き取り調査等をおこなって、生活しているうえでの(あるいは仕事をしているうえでの)、満足・不満・良い点・改善点などを整理し、提案し、一般に公開するというもの。25年度の調査報告書によれば、ほとんどの項目で感謝や満足のご意見が寄せられているものの、ご入所者からは「話し相手がほしい」「お風呂に週2回以上入りたい」「職員の力の差が大きい」など、ご家族からは「レクリエーションや外出機会が少ない」「職員の数が少なくて、大変そう」など、切実で耳の痛いご意見も。介護・看護職員の数という点では、当施設は基準の1.6倍配置しているのだが、ご入所者・ご家族のお気持ちはもとより、現場職員の実感としても十分ではないというのがを正直なところだろう。ただ施設管理者の本音としては、これ以上職員数は増やせないという思いが強い。ならばどうする。平均要介護度4.2、平均年齢88歳という現状の中で、外出やレクリエーションの機会を多くし、元気で、楽しく暮らしていただくために、何を追加し、何を削減するのか。日々、その工夫が、問われている。

2014年5月15日木曜日

【№15】おむつゼロに向かって、少しの前進が

25年度、特別養護老人ホーム部門では、ご入所者(平均年齢88歳)の平均要介護度は24年度末の4.3から25年度末には4.2に改善した。ささやかとはいえ、昨年4月以来取り組んできた自立支援介護の方向性が確認できた数値と考えている。そのために強化した歩行訓練では入所時、まったく歩けなかった方が半年ほどの繰り返しの訓練の結果、施設内の100mほどの廊下を楽しそうに歩けるようになったり、時に近くのコンビニまで歩いて買い物にという姿もちらほら。また水分摂取量の増加や下剤投与の削減、食物繊維摂取の適正コントロール等の試みの結果、日中のおむつ着用率も25年度当初の95%から年度末には69%にまで下がってきた。ご自分の意志で(力で)トイレまで歩行し(介助は必要だとしても)、トイレという密室で遠慮なく用を足す。誰しもの当然の願いが少しずつ実現しはじめている。おむつの使用をゼロにする(全員がトイレで用を足す)。若い、健常の方にとっては当たり前のことだが、お年寄りの尊厳にとって、このことははかり知れないほど大きい。この思いが通奏低音となって自立支援=介護度の小さな改善の背後に流れている。飛鳥晴山苑に入所すれば、元気になる。明るくなる。笑顔が増える。そう思っていただける介護に新年度、なお一層力を注ぐつもりである。

2014年4月9日水曜日

【№14】介護職員の悲鳴?!

ご利用者やご家族の要望で一番多いのは、なんと言っても、職員の数をもっと多く、ということだろう。152名定員の飛鳥晴山苑(特養)には、介護職員を常勤換算で基本的に77名配置している。介護保険法が定めている基準(入所者3名に対して介護・看護職員を1名)では、介護職員を47名、看護師を4名以上配置しなければならないとされているので、当施設は介護職員を30名(1.6倍)も多く配置していることになる。
それでも、現場は火の車。排せつ介助、入浴介助、食事介助、移動介助、見守り、徘徊、転倒、体調管理などなど、仕事は山のようにある。笑顔で黙々と働く介護職員の心中には、悲鳴がこだましている。国保連から支給されている介護報酬は、31を基準にしているので、過剰の30名分は、基本的には施設側の負担となる。施設の会計からも、悲鳴があがる。悲鳴と悲鳴が交錯している、というのが特養という現場のありていな姿なのである。
過剰と書いたが、本当のところは過剰ではない。むしろ、まだまだ少ないと、私自身もそう思っている。まして、当施設ではオムツの使用を極力少なくし、「排尿・排便は基本的にトイレにご案内する」などの自立支援に力を注いでいる。ますます人の手がかかる。利用者、職員、管理者の間にこだましている悲鳴が、いよいよ絶叫にならないように、特養は、ひいては介護保険制度は、いよいよ正念場を迎えているように感じる。手をこまねいているわけにはいかない。ちょっと前のテレビドラマの「きめ台詞」のように、解決のカギは現場にある。踏みとどまって現場で解決するしかない、と改めて感じる年度始めである。

2014年3月1日土曜日

【№13】可愛いダンサーが慰問してくれました。

私ども飛鳥晴山苑には、折々に、近くの保育・幼稚園児や小学生たちが訪ねてくれる。歌を披露してくれたり、なぞなぞを一緒に楽しんだり───。子供たちのさんざめき、握手を交わす幼い手のぬくもり、好奇心いっぱいの柔らかな視線、話しかけてくる頼りなげな声、力強い歓声、それらすべてが、お年寄りたちは大好きなのだ。訪問してくれた時、私はいつもそう感じる。
この3月には(3月1日)、遠く世田谷区から小学生たちが訪ねてくれた。総勢14名。クラシック・バレーを習っている子供たちで「チュチュの会」。名前の響き通りかわいらしいチュチュをまとって、舞い、跳び、くるくると廻る。特養・ショートステイに入所中の御高齢者の視線も、つられて廻り、踊り、そして子供たちを優しく包み込む。口元がほころび、微笑みがお顔いっぱいに広がる。拍手が大きくなり、元気の素が湧き出してくる。あっという間の1時間でした。遠くからありがとう。楽しい企画をしていただいた「東京北ライオンズクラブ」と「チュチュの会」、付き添っていただいたご父母の皆様、ありがとうございました。

2014年1月15日水曜日

【№12】質の高い介護現場をめざして

介護保険では特別養護老人ホームの介護・看護職員の人数は、ご利用者3人に対して、1人以上(常勤に換算して)配置しなければならないと定められている。飛鳥晴山苑の場合、定員172名だから、介護・看護職員は58名以上必要ということになるが、24年度は常勤換算にして96名配置していた。基準の1.7倍、人数にして38名も多かったことになる。
ご利用者1.8人に対して介護・看護を1名配置して運営してきたわけだが、介護職員の実感は、「いつもバタバタと、火の車」。ご利用者やご家族の想いも、「そんなに多いの?」。私自身、そう思う。ユニット型個室は独立性が高く、プライバシーが守られやすい。反面、職員同士の連携が取りにくく、業務が独立=分断されやすい。ご利用者にも職員の存在を希薄に感じさせてしまう。
この難題を解消し、安心・安全で、質の高い介護現場を作り出すために何が必要か。加えて、苑では昨年の年初より「おむつゼロ」等の自立支援を強化している。ここでも、人の手がかかる。
さて、どうする。模索の新年が始まる。

2013年11月21日木曜日

【№11】離職率10%前後は、多い?少ない?

当施設職員の離職率はこのところ約10%、介護職に限っては約8%前後で推移している。特養・ショートステイ部門に配置されている介護職員は約100名ほどだから、1年の間に10名前後の方が離職するというのは介護保険施設の平均離職率が20数パーセントといわれている現状にあっては、少ない方かもしれない。結婚・出産等が控えている若い女性が主力の介護現場であるだけに、若干の離職者は致し方ない。ただ、私としては、この数値を限りなくゼロにしたい。近年はやらない言葉となった感もある終身雇用とまではいかないにしても、10年・20年勤め続けることのできる魅力のある職場、誇りの持てる仕事にしたいと思っている。そのために必要なことは何。給与水準? 公休数? 介護職として誇りを感じることのできる専門性? 職員同士の連帯感? ご利用者・ご家族との間に醸成される信頼感? 必要にして十分な職員数? いやいや、そのすべて? うーん、難しい。でも、これらを一つ一つ実現してゆかなければ、飛鳥晴山苑の未来はない。特養としての期待される役割を果たせない。そう思うばかりで、空回りする自分にいらだちながら、窓から下瀬坂を行き来する方を眺めることの多い毎日です。

2013年10月1日火曜日

【No.10】夢の実現も遠くない?!

特養で生活すれば、どんどん元気になる。当苑ではこの4月以来、そんな夢のような介護に取り組んでいます。オムツからトイレでの排便へ、車いすから自力歩行へ、胃瘻やミキサー食から普通食へ──など等。平均要介護度4.3の方々ですから、可能な限りというただし書き付きですが、そんな自立支援に力を注いでいます。そのカギを握っているのが水分の摂取だそうで、お一人1日1500㏄以上の水分を飲み物として摂っていただくケアを実施し、運動や食物繊維を多く摂っていただくことで自然排便を促し、入所以来車いす生活だった方への歩行訓練も強化しています。その結果、わずか3~4か月の試みで、歩けなかった(歩かなかった)方が、歩行補助具を使ってご自身の意志で100mも歩けるようになったり、水分の摂取も目に見えて多くなったり、日中の覚醒状態が改善されたり。少しずつ報告される成功例に「夢の実現も遠くない」と意を強くさせられる毎日です。

2013年8月26日月曜日

【№9】私ごとで、恐縮ですが

私ごとで恐縮ですが、現在、要介護2の母は当年とって97歳。数年ほど前から、郷里の実家はそのままにして、1年のうちの半分ほどは私の住まいで、後の半年は姉の家で過ごしてもらっています。本人にしてみれば、落ち着かない、遠慮の多い毎日なのだと思いますが、そのことに不平ひとつ言わず淡々と、週5日、それぞれの近所にあるデイサービスに通うのを楽しみにしている。そんな穏やかな日々が、なんとかここ数年続いていますが、日常、細やかにかかわっている妻や姉には「あれ?」と感じることも多くなってきたようです。ありがたいことにこれまではトイレも入浴もちょっと見守りをしていれば一人で心配なくできてきましたが、時にトイレの失敗をする、それを悟られないように汚れた下着を箪笥の奥にしまってしまう、失敗したことも忘れてしまっている、何度もお風呂に入ろうする、数分おきに、日付や、曜日を聞いてくる、など等。姉と顔を合わせると、「(自宅での暮らしも)ソロソロかねえ、次のことも?」があいさつ代わり。ジワリと寂しさが募る毎日ですが、ただ飛鳥晴山苑にご入所されている方のご家族から見ると、97歳にしてこの程度の失敗や困難は、「ノー、プロブレム」。妻の献身に感謝しつつ、100歳までは何とか自宅で!と思う晩夏の夕暮れです。