介護職員がなかなか採用できない、といわれて久しい。残念ながら、飛鳥晴山苑も例外ではない。当苑の特養には、今年3月現在で、常勤の介護職員が74名、看護師が常勤換算で8名。計82名の看護・介護職員が配属されている。入所定員152名を82名で割り算すれば1.9。入所されている方1.9人に対して1名の看護・介護職員が配置されていることになる。介護保険では、3対1以上の配置が必要だから、51名が最低基準。現状は30名ほど多いことになり、基準は大きくクリアしている。それでも、現場は火の車。質の高い介護現場にするためには、1.6対1が理想? となれば、さらに10名ほど介護職員を増やしたいところだが、逆に毎年10名ほどが退職してゆく。“離職率は特に高くない”とはいわれるものの、採用と離職の追いかけっこ。ここ数年、お給料もなんとか他産業並みになってきていますし、仕事は楽しく、やりがいがあると自認? していますし、いやはやなんとも、今春の新卒の介護職やるせない……。
2020年4月13日月曜日
2020年1月13日月曜日
【№43】持ち上げない介護に邁進の令和2年
元号が令和に変わっての、はじめてのお正月。おめでとうございます。
さて、私ども特養では数年前から“持ち上げない、介護”に取り組んでいます。ベッドから車椅子へ、浴槽へ、トイレへ。毎日、何回となく、ご利用者を持ち上げる。介護職員は、ご高齢の要介護高齢者を“よっこらしょ”と、持ち上げるのがていねいな介護。当たり前の介護。そう信じて、仕事に向き合ってきましたが、その結果、当然のこととして、何人もの介護職員が腰痛持ち。やりがいのある、大好きな仕事を泣くなく離れざるを得なくなる。そんな残念なことも。これはなんとかしなければと、遅ればせながら取り組みはじめたのが”ノーリフティング・ケア“。持ち上げない介護。身体の使い方や持ち上げ方を研究し、使いやすく、ご利用者にも満足していただける安全な機器をそろりと導入。そのささやかな成果を、11月、ノーリフティング推進協会の全国大会で発表したところ、それがなんと、最優秀賞。残業もいとわず、準備してきた担当職員の苦労が一気に報われた気分。参加した職員全員、期せずして大きな喚声! 喜びすぎ? いやいや、この賞を励みに、これまで以上に安心・安全・やさしい介護現場をつくってゆきますよ。そんな決意も新たに、令和2年に突入です。
2019年10月21日月曜日
【№42】花と光に包まれた旅立ち
「トミおばあは、百歳。百年も生きてきたので、体のあちこちがギシギシと痛い。寒くなるとトミおばあは ますますぐったりする。でも もうすぐ ハルヨドリがやってくる。ハルヨドリは やせていて 太陽のにおい。肩に大きなリュック。澄んだ瞳。ハルヨドリが どこまでもとべるのは このリュックの中に ハルヨの花の種が ぎっしり つまっているからだ。ハルヨドリは年二回、遠い国から トミおばあのいる 小さな島へ とんでくる。トミおばあは ハルヨドリをまっている。何日も 何日も 何日も──。そして ついに オリーブ色の風といっしょに 空からハルヨドリがはいってきた。トミおばあの部屋の中に ハルヨドリのリュックの中の ハルヨの種が ザザア─とこぼれた。次のしゅんかん 種が いっせいに芽を出し 見るまに スクスクのびて つぼみがふくらみ トミおばあの部屋いっぱいに 春の色の オレンジとピンクの花がさいた。ハルヨドリが つばさを広げてトミおばあに だきつく。“あいたかったよ トミおばあ” “おかえり ずっと まっていたよ”」。(山田たまん著『光に包まれて』より抜粋・再録) ※ハルヨドリとはタイで28年間、ハンセン病の支援活動にかかわり続けている看護師・阿部春代さん。トミおばあは18歳から84年間、宮古島のハンセン病療養所で療養生活を続け、この物語の2年後の2018年の夏、いつも待っていたハルヨドリの翼にのって旅立った。享年102歳。
2019年7月28日日曜日
【№41】天意重夕陽 人間尊晩晴
このところ、新札の発行で話題となっている渋沢栄一が好んだ漢詩とのことで、「天が綺麗な夕陽を見せてくれるように、人間の人生も晩年が尊い」との意味だと、ある方に教えていただいた。明治維新の混乱で、多くの生活困窮者や要介護高齢者が溢れた東京市に、いち早く(明治2年)養育院を開設し、以来92歳の天寿を全うするまで50幾年もの長きにわたって院長を務めたという氏の言葉だからこそ、晴れ晴れと心に届いてくる。養育院は、板橋の地にあって、いまも高齢者介護・長寿医療のセンターとして大きな役割を果たしており、飛鳥晴山苑から徒歩10分ほどの地、飛鳥山公園の一角には翁が亡くなるまでの30年ほどを過ごした広壮な旧邸が記念館として公開されている。この季節、桜の新緑に包まれた館の屋根が、夕陽を受け止めて輝いている。
2019年4月10日水曜日
【№40】 自立支援とおむつゼロ
一般に「自立」とは、「人に頼らず、自分の責任において社会生活を営む力」と理解されています。が、要介護高齢者にとっての「自立」は、「他人に頼らない」ということとは真逆に、むしろ頼ることのできる社会資源を使って、人としての尊厳を維持し、自身の可能性を可能な限り押し広げること。できることをたくさん増やそうとする意欲こそが、要介護高齢者にとっての自立であり、その自立を支援することが、介護福祉施設の一番大切な役割だと、私たちは考えています。
要介護高齢者の自立を脅かしているもの、食事・睡眠・整容・入浴・排泄──そのどれが欠けても自立が脅かされることとなりますが、なかでも「排泄の自立」が損なわれることほど、人としてのプライド、尊厳が打ちのめされることは他にない。そう感じます。飛鳥晴山苑の「おむつゼロ」の試みは、人としての尊厳を守る、一番大切な支援。介護職員にとっても、自分の仕事の専門性の試金石。飛鳥晴山苑の介護職は、そのような気構えで、ここ数年「おむつゼロ」に取り組んできたというように、私にはみえます。「排泄はトイレで密やかに」、そして「オムツを当てなくてもよい暮らし」を実現すること。私たち介護に係るものたちがこの「誇らしく、尊厳」に満たされた瞬間に立ち会うこと、これが飛鳥晴山苑の自立支援の絶え間ない道のりなのだと感じています。
2019年1月20日日曜日
【№39】新しい年が希望に満ちた暦でありますように
飛鳥晴山苑の特養に入所されている方の最高齢は101歳。2019年(平成31年)の春には新しい元号がスタートするそうですから、その方は大正時代を8年間、昭和の御世の63年間、平成を30年間、そして新しい元号へ。4代にわたる御世をご経験され、その間、無論、楽しいことばかりではなかったでしょうが、“未来へと長く、永く続いてゆくこと、すなわち、慶事”。大変にお幸せな方といえましょう。
平成の30年間、ご苦労様でした。そして、新年、おめでとうございます。新しい暦を迎える2019年はどんな年になりますでしょうか。世界には難問が渦巻いていますが、ご高齢の方を支える介護の世界は穏やかで、希望に満ちたものでなければなりません。ささやかではありますが、その一助となりますよう務めてまいります。
平成の30年間、ご苦労様でした。そして、新年、おめでとうございます。新しい暦を迎える2019年はどんな年になりますでしょうか。世界には難問が渦巻いていますが、ご高齢の方を支える介護の世界は穏やかで、希望に満ちたものでなければなりません。ささやかではありますが、その一助となりますよう務めてまいります。
2018年10月11日木曜日
【№38】敬老会で、うきうき! ニコニコ!
この二、三日、施設内のあちらこちらから、“おめでとうございます”の声が、聞こえてきます。そう、9月の中旬は、“敬老週間”なのですね。この時期、特養やショートステイに入所されている方も、デイサービスに通ってこられる方も、なにやら、うきうき、ニコニコ。特養の居室やご自宅で、ご家族や職員、お知り合いからの、“おめでとうございます”の挨拶に包まれていますからね。
飛鳥晴山苑でも連日、敬老会が開かれてましたよ。ささやかな感謝状に満面の笑顔で感激していただき、かえって、こちらのほうが感謝するひとときでした。ある米寿(88歳)の方が、「私は学徒動員の世代で、戦争では多くの友人を亡くしました。戦後の70幾年、頭から離れたことはありません」とのご挨拶をいただきました。“おめでとう”の裏側に、そんなお気持ちがいつも祈りとなって沈潜しているのですね。長い年月のご苦労や深い悲しみに共感できる、私たちでありたいと、改めて感じさせられた敬老週間でした。
飛鳥晴山苑でも連日、敬老会が開かれてましたよ。ささやかな感謝状に満面の笑顔で感激していただき、かえって、こちらのほうが感謝するひとときでした。ある米寿(88歳)の方が、「私は学徒動員の世代で、戦争では多くの友人を亡くしました。戦後の70幾年、頭から離れたことはありません」とのご挨拶をいただきました。“おめでとう”の裏側に、そんなお気持ちがいつも祈りとなって沈潜しているのですね。長い年月のご苦労や深い悲しみに共感できる、私たちでありたいと、改めて感じさせられた敬老週間でした。
2018年4月20日金曜日
【№37】11年目、さらなる自立支援へ
飛鳥晴山苑がこの地に開設されて今年の春でまる10年目。その年に入所され、以来、変わらず当苑で生活を継続されている方は当年とって85歳、89歳、93歳のおさんかたのみ。「変わらず」と書かせていただきましたが、3人の方にとっての10年は、けっして平坦なものではなかったでしょう。要介護度で申し上げれば、お二人の方は要介護度3で入所され、10年後の今日では要介護度は5。もうお一人の方は4で入所され、今も4。心ならずも病を得、手助けの必要なことも増え、時に過ぎ去りし日の思い出に心をゆだね、離れて暮らしておられるご家族を気遣う日々。どなたにとっても、かけがえのない日々の積み重ね。本当にご苦労様でした。さて、当苑入所者の平均要介護度は近年、改善傾向にあります。数年前まで飛鳥晴山苑に入所されている方の平均要介護度は4.3ほどでしたが、H25年度は4.2、H28年度は4.1、今年の上半期は4.0。H27年度の改正以来、新しく特養に入所してこられる方は3以上となりましたし、加えて、飛鳥晴山苑に新規に入所される方の70%以上が4か5という現状にあってなお、重度から軽度へと「元気になる」という流れが生まれていることは、「奇跡?」。いやいや、当苑でここ数年力を注いでいる「自立支援=おむつゼロの大きな成果」と、意を強くして11年目に出発です。
2018年1月16日火曜日
【№36】「ありがとう」という言葉に包まれて
面接にきてくれた若い求職者に「特養って、どんなところですか?」と聞かれて、「いつも、ありがとうっていう言葉が、行き交っているところですよ」と応えています。長い人生を歩んでこられて、いつしかお年を召されて、自分のことが上手に出来なくなって、途方にくれて、そんな時、自分の孫のような若者がそっと、手を差し伸べてくれる。そして、思わず“ありがとう”って言葉が出て、傍らで孫のような若者がにっこり。お年寄りの心の中には、長い人生の年月の分だけ、たくさんの“ありがとう”が秘められています。そんな、“ありがとう”と出会える場所、特養の一日は、そんな毎日。ぜひ、一緒に働きましょう。
2017年10月12日木曜日
【№35】お見送りの時の静寂
105歳の最後の時まで、病む人々の傍らに立ち続け、生涯を通して導きの光となってこられた日野原重明先生が、7月18日、天に召された。私ども、飛鳥晴山苑にあっては、開設以来、折々にお訪ねいただいてご指導を受け、入所されている方々にそのやさしいまなざしを注いでいただいた。私個人としても、50幾年も前のことになるが、病に倒れた私の義父を看取っていただいたこと、聖路加国際病院を訪ねた際、チャペルでかけられたお言葉の数々を思い出し、その日、それらの一齣、ひとこまが心に低く、響き流れた。
当苑では一年の間に50名ほどの方が旅立たれるが、その方々をお見送りする秋の彼岸供養会が9月の25日に催された。毎日、朝な夕なに、心の奥深くに分け入って喜びや哀しみ、共感や孤独をお受けしてきた職員一人ひとりがしめやかに手を合わせる。ご住職の読経が通奏低音となってあたりを包み込む。お一人ひとりの死に向き合う静寂の時。
謹んでご冥福をお祈りいたします。
当苑では一年の間に50名ほどの方が旅立たれるが、その方々をお見送りする秋の彼岸供養会が9月の25日に催された。毎日、朝な夕なに、心の奥深くに分け入って喜びや哀しみ、共感や孤独をお受けしてきた職員一人ひとりがしめやかに手を合わせる。ご住職の読経が通奏低音となってあたりを包み込む。お一人ひとりの死に向き合う静寂の時。
謹んでご冥福をお祈りいたします。
2017年7月12日水曜日
【№34】推薦90名のうち、入所者は約半数
北区の特養ではベッドに空きが出ますと、区の担当課から推薦を受け、希望者との面談等、双方で入所の検討が始まります。飛鳥晴山苑では昨年度1年間で90名の方の推薦を受け入所調整をいたしましたが、最終的に入所された方は47名でした。ひとつのベッドに空きが出て、次の方が入所されるまで通常、4週間。長くベッドが空いたままということにならないよう、スピーディーに入所していただくこと。それが、入所を心待ちにしておられる希望者の要望にお応えする当然の道筋と考えています。一方、入所されなかった43名の方の内訳を見ますと、「辞退された方」が30名、「入院中のために保留」とする方が6名、「すでに亡くなっていた方」が4名、「医療行為等の必要性により受け入れが困難」とさせていただいた方が3名でした。「辞退」につきましては「家族間の意思の不一致」「まだまだ元気」「金銭的な負担」など、そのご事情について、私どもとしてはいかんともしがたいものがございますが、重介護が入所条件である特養であれば、当然ながら「医療行為」の必要性はますます高いはずですから、そのことをもって「困難」という判断は可能な限り遠ざけたいところです。その体制作りを急がなければなりませんね。
2017年1月20日金曜日
【№33】ご高齢者の生き抜く力に感服の毎日
特養に入所してこられる方は、基本的に要介護度が3以上に制限されていますから、必然的に飛鳥晴山苑で暮らしている方も平均要介護度4.2という重い方が中心となります。それでも、お一人おひとりにフォーカスしてお世話をしていますと、2ヶ月前にはできなかったことが今日できる、といった新しい発見にうれしくなることがたくさんあります。辛抱強い歩行訓練の結果、車椅子の方がご自身の足で散歩を楽しまれるようになる、オムツの方が普通の下着を身に着けてしゃきっとお暮らしになっている。そんな場面に遭遇することはまれではありません。私どもの施設の統計では、入所されて何年かの間に残念ながら重くなる方は30%ほどいらっしゃいますが、逆に介護度が軽くなる方は20%ほど、現状維持の方が50%ほどいらっしゃいます。“加齢に抗して70%の方が現状維持以上”ということは、平均年齢88歳という特養にあって、これはすごいことではないでしょうか。介護度が軽くなることが、イコール元気になることではありませんが、平成28年もまた、自立への歩みを止めていないご高齢者の生き抜く力に感服の毎日でした。
2016年10月6日木曜日
【№32】感謝、感謝の地域密着、万々歳
私ども、特養・飛鳥晴山苑に入所されている方は、原則北区に住民票がある方ばかりだし、その方々をお世話することでいただける介護報酬も北区の40歳以上の方が毎月負担している介護保険料が基本財源。そのお世話をしている職員も北区在住者が多数派です。健康管理や治療のために定期的に往診してくれるお医者様はすべてが北区で開業している先生たち。入院も特に支障がなければ北区内の協力病院に。特別養護老人ホームは典型的な地域密着型産業なのですね。北区で暮らし、北区で子育てをし、北区で老い、北区で介護のお世話になる。住み慣れた地域で、なじみの人々に囲まれて最後の時を迎える。飛鳥晴山苑がそんなお年寄りたちの穏やかな最後のステージとなりますように。これが私ども職員の大切なお役目と肝に銘じて精進してまいります。それにしても、先日(8月20日)行われた納涼祭。あいにくの嵐をものともせず、お年寄り、障害のある方、ご家族、近くの子供たち、区役所や区議会関係の方々がわんさか集まって、これぞ地域密着。地域に支えられていることを改めて実感させていただいた一日でした。大感謝です。
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